November 10, 2010 23:00
「ソウ ザ・ファイナル 3D」
世界で最も成功したホラー映画としてギネスに申請された「SAW」シリーズが3Dとなって、いよいよ完結。どマイナーな低予算映画だった第1作目から、きっちり全作劇場で見続けてきた訳だが、当時はよもやこんなメジャータイトルになるとは思わなんだなぁ…。「SAW」と言うと、過去作未見者置いてけぼり作品。今回も「6」の時と同様、これまでの復習として本編前に「ソウ集編」が流れた訳だが、これまた「6」の時と同様、過去作未見であっても、とりあえず、「ソウ集編」を見ておけば、今作は何とかなる的な代物では全然ないので、未見者はちゃんと予習をしておく様に!
今作、まず最初に言いたいのは、「3D分の割り増し料金返せ!」と…。流行りだからと、安易に3D化に走る傾向は何とかして欲しいね。仮に、2D版と同時上映にした場合、たとえ割り増し料金を払ってでも、あえて3D版を見たいと言う人の方が大半…なんて事になる程、3D版が望まれているとは思えないのだがなぁ。あえて3Dで作る以上、それなりの甲斐がある様に作って貰いたいものだが、少なくとも、今作においては3Dとする必要性は全く感じられなかった。そもそも、ただでさえ、あまり画面を凝視したくないシーンの多い作品なのだから、しっかり見てナンボの3Dなんかにしないで欲しいものだ。まぁ、3D化に関しては、どうせこういう感想になるだろうな…とは思っていたので、見る前から諦めていたのだが、肝心の内容の方はと言うと、面白いか否かで言えば、それなりに面白かったが、「ファイナル」としては、かなり不満が残ると言った所だろうか。過去作とのリンクが不足がちで、集大成感が乏しく、ジョンの陰が薄過ぎた上、これでジクソウのゲームは全て終了…と言った印象が全く残らなかったからである。あと、計画の障害となる警官はともかくとして、全く罪なき人物がゲームに巻き込まれて無惨な死を遂げたり、ラスボスが最前列にいないとか、ジグソウの美学が欠如していたのにも不満が残った。
以下、ネタバレありなので、これから見る人は注意。
今回の「ソウ集編」では過去作の生存者がリストアップされた訳だが、本編では「ジグソウ生還者の会」なる会が立ち上がる…となれば、さっき復習したばかりの生存者軍団がズラリと集結(した挙げ句、再びゲームに巻き込まれて、大半が死亡?とか)するのかと思いきや、出てきたのはほんの一部で、ああいう使われ方をするなら、別に、本編に出てきた被害者が皆無でも全く問題なく、おかげで「ソウ集編」は殆ど役立たずだった。ブリットやパメラの再登場にはかなり期待していたのだが…。ブリットはともかく、「6」のラストを考えたら、アボット親子が出ていて、パメラが一切出てこないってのはおかしいだろ…。アボット親子がパメラの兄・ウィリアムを死に追いやったのは、過失でも正当防衛でもなく、明らかに殺意を持っていた殺人行為な訳で、それをしっかり目撃していたパメラがむざむざあの二人を野放しにするのか?と…。この流れからするに、この3人が今回のオープニングゲームになる可能性もあるかも…と予想していたのだが、もしかして、パメラ、画面に出てない所でこの親子に殺されちゃってるとか? 事件を追っていたジャーナリストと言う立場からも、パメラにはもう少し掻き回して貰いかったのだが…。オープニングゲームと言えば、今回は初めて衆人環視の中で行われた訳だが、誰にも見つからない様に、あんな町中にあんな大仕掛けを用意し、3人も拉致って来ると言う高いリスクを犯してまでやると言う事は、ファイナルならではの何か特別な意味があるのでは?と期待してみたものの、全くそういう事はなく拍子抜け…。メインゲームの方はデイゲン達だった訳だが、デイゲンのサイン会にジョンが来てるって事は、デイゲンはかなり初期の段階でジクソウの被害者ヅラして儲けていた訳で、そんな奴を今の今までジョンが放置していたのも不思議でならない。
それにしても、次々に一撃必殺で警官を葬っていく「ホフマン無双」ぶりには大笑いだったのだが、幾らシステムを傍受されていたからと言っても、警察側も間抜け過ぎるよなぁ。どいつもこいつも簡単に誘い出され過ぎ、簡単に殺され過ぎ…(笑)。せめてパルマーだけでも生き残ってくれと祈っていたのだが…。まぁ、シリーズ通して、この作品の警官は揃いも揃ってジクソウ側の掌で踊り過ぎだよな。ホフマンが無駄に強過ぎた所為で、キーマンの一人と思われていたジルがただ逃げまどうだけの女になってしまったのにも、ガックリ…。登場時から思わせぶりな態度を取る事が非常に多かったので、ホフマンの預かり知らない、ジョンから受け継いだ切り札をまだ隠していて、何かやってくれるのでは?と期待していたのだが、結局、ジルの見せ場は「6」のラストだけだったんだなぁ。それを失敗してしまった段階で、既に、ジルの命運は尽きていた為、今作で一気に小者化してしまった訳だ。
今作は「1」以来、生死不明だったゴードンがついに再登場すると言う事が最大の目玉だったと思うのだが、結果的に言うと、これは公開するまで伏せておくべき重要機密だった様に思う。何せ、この情報が分かっていた所為で、見る前からオチを想像出来てしまったからだ。しかも、「生還者の会」でのあの振る舞いは、ジクソウ側の人間である事を予感させ過ぎ…。回想シーンも含めて最後の最後でいきなり出てくれば、予想範囲内ではあっても、それなりにサプライズになったと思うのだが…。ゴードンが協力者だったからこそ出来た事があった…と言う点については、それなりに納得出来る部分はあるものの、ジョンが真の後継者たりうる人物として、ゴードンのどの辺りを評価したのか、ゴードンが何故、後継者としての誘いを承諾したのかについては、あまり説得力のある描写がなく、釈然としない形で終わってしまったのが、何とも残念である。あとジョンはジルに何かあったら…ではなく、何かありそうな段階でホフマンを始末する様に言っとけよ!と思わずにはいられない。だって、そうなる事、予見してたんでしょ? で、結局、この後、ゴードンはどうするのかね? これで全て終わりにするのか、これから後継者としてジクソウ的活動をしていくのやら…。あと、一緒にいたマスクマンは誰なのさ?(「1」で巻き込まれたゴードンの妻子?)
どうにもモヤモヤする印象が残るもので、これで完結と言うのは悪い意味で残念。「9」まで作る構想があったのに、今作で完結としてしまった弊害は少なからずあるのだろう。ビデオ・ストレートになってでも出すと言っていたものを半端に打ち切らないといけない事情って、一体何なのかね? 普通に考えれば、興行的にプラスにならないからだが、最も成功したホラー映画の筈なのに? 実は「3D」はもうこれっきりと言う意味での「ファイナル」であって、来秋はいつも通り、2D版の続編が出たりすまいな…。原題は「SAW 3D」と「ファイナル」付いてないしなぁ。続編が出ても何ら不思議のないオチなので、本当に続編が出たとしても、別に驚きはしないだろうが、今回で完結させないつもりだったのなら、今作をもう少し何とかしてくれよ!と言う怒りは湧いてきそうだな…。
ソウ 【廉価版1,890円】 [DVD]
ソウ2 【廉価版1,890円】 [DVD]
ソウ3 【廉価版1,890円】 [DVD]
ソウ4 【廉価版1,890円】 [DVD]
ソウ5 【廉価版1,890円】 [DVD]
ソウ6 [DVD]
ランキング投票にご協力下さい→ 人気blogランキング