February 02, 2009 22:56
「シャッフル」
【あらすじ】
愛する娘達と親子4人で幸せに暮らすリンダのもとに、ある日、夫・事務が自動車事故で死亡したと言う知らせが届く。ところが、その翌朝、死んだはずのジムが何事も無かったかのように目の前に現れ、唖然とする。しかし、その翌日には、ジムの葬儀の為に、喪服に身を包んだ大勢の人々が集まっていた。さらに、その日以来、全く身に覚えの無い”不可解な出来事”が次々と起こり始めるが、誰もまともに取り合ってくれない。”何かが絶対におかしい!”───そう思ったリンダは、カレンダーと照らし合わせながら、不可解な出来事を順番に並べてみると、曜日がバラバラに”シャッフル”された1週間がやってきているという”驚愕の事実”に気付く。やがて、ジムの死んだ日であり、全てが狂い始めるきっかけとなった、運命の”水曜日”がやってくる…。
さして映画通な訳でもない私には、サンドラ・ブロックと言えば、未だに「スピード」の人…な認識しか持たず、今の彼女のネーム・バリューが日本でどれ程のものなのか、よく分からないのだが、上映前から妙にマイナーな空気が漂っていた「シャッフル」。実際、上映館も少ない上、上映回数まで少ないし、向こうでは2年近く前に上映された作品が今頃になって日本上陸と言うタイミングも微妙。とは言え、ネタ的にかなり気になっていた作品だったし、周囲の空気にやや不安感を覚えつつも、映画の日なら失敗してもいいかな…と行ってみた次第だ。
作品の性質上、いつ何が起きたかに関して、些細な要素も見逃せないのではないか?と言う緊張感を強いられたのだが、見落として困る様な細かな伏線はなく、案外、気楽に見ていても大丈夫だったのかも…。割とシンプルなスリラーだったと言う印象だ。こういうタイプの作品だと、少ないヒントを辿りながら運命改変の為に奔走したヒロインの苦労が報われてハッピーエンドか、運命はどうやっても変わらないのだと言うバッドエンドのいずれかが予想されるのだが…(以下ネタバレあり)
今作はバッドエンド…。バッドとハッピーの境目は本当に紙一重だったが、結果的にはリンダが余計な事をしなければ…と言う最悪の展開となってしまった。だが、「運命は変えられない」理論により、リンダが何もしなかったらしなかったで、違う形で悲劇が起きていただけの事かもしれない。これをどう受け取るかで、この作品の印象は大分違うと思うのだが、エピローグを見るに、リンダは運命改変の為に奔走した事を後悔してはいない印象だった為、案外、後味は悪くなかった。あの流れならば、長女の顔の傷が一生残ってしまったり、リンダが保険金殺人の疑いをかけられてもおかしくないし、ジムの死を目の前で見てしまった上、それが自分の所為ともなれば、リンダは本当に精神が崩壊して、長々と精神病棟生活を強いられる…なんて悪夢の展開も十分にありえた筈なのだが、その辺りが全て快方に向かっていた事も悲劇感が薄まった。そういう意味では、リンダが精神病棟に拘束されるエピソードの存在意義が全く感じられなくなってしまった。あの土曜はジムの惨い遺体を見て半狂乱になった…で締め括っても何ら問題がなかった様な気がするのだが…。そもそも、長女は火曜にケガしてるのだから、ジムの死との因果関係なんかありえないのに(あと、長女、木曜では綺麗な顔してたよね? どういう事? これって、大チョンボ? それとも小さな運命改変が起こってる?)、いかにリンダが情緒不安定だったとは言え、母親はあまりにも勘繰り過ぎな上、警察や病院への手回しが整い過ぎ。あんな簡単に拘束されるまでに至らないだろ、普通…。あのくだりはとにかく違和感があり過ぎた。ハッピーエンドなら、山と谷のギャップを感じさせる為にも、少々理不尽でも、あれくらい不幸な目に遭うのもアリかもしれないが、あのエンディングなら、全くもって不要だった気がしてならない。
さて、曜日のシャッフルに気付いて、色々と奔走した…かに見えるリンダではあるが、どうにも間が抜けていた感じで、気付いているなりの行動を殆ど出来ていない。今まで起きた事実を時系列を考えながら、書き込んでいく辺りで、色々期待したのだがなぁ。土曜にロス医師にされた仕打ちを考えたら、あんな形で相談しに行っちゃって大丈夫なのか?とか…。葬儀の日を先に延ばすとか言った程度の事だけでも、運命を狂わせる事に繋がりはしないのだろうかとか、やきもきする事しきり…。徹夜する事により、睡眠中のシャッフルを阻止したり出来ないのかな。とにもかくにもリンダは安易に寝過ぎである。特に、肝心のXデーに寝坊なんて、緊張感が足りなさ過ぎるよね。ジムが浮気しかけていた事を知った為に、ジムの死を止めるべきか否かと言う事に対して、葛藤が生まれて、二の足を踏んでしまったのも、対策が遅れた原因ではある。あのタイミングでジムの浮気未遂を知ってしまう事も運命を改変させない為のピースだったのかもしれない。それにしたって、死んだ場所が分かっていて、現場検証までしに行っているのだから、水曜にあそこだけは通らないでくれと言うチャンスは幾らでもあったと思うのだが、何で言わなかったかな〜。言ったけど、止められなかった…訳ではないのが、ちょっと釈然としない。起こしてくれと頼んだのに、起こしてくれなかった…と言うのはあったけど…。そもそも、運転中に電話したら、そりゃ危ないだろって…。
結局、リンダにのみシャッフルが起きたのかは全く分からないままだった。神の仕業…ってのも、神父が言ってるだけで説得力があった訳ではないし、信仰を持て云々と言ったくだりも微妙〜な感じだったかなぁ。多分、作り手としては、最重要テーマなつもりな気がするけど、なくても全然問題ないシーンだったからして…。幾ら抗った所でジムの死が覆しようもない運命だったのだとすれば、シャッフルはただリンダを弄んだに過ぎず、リンダの奔走は無駄でしかなかったのだろうか。いや、シャッフルがあったからこそ、そして、そこで奔走したからこそ、ジムは家族への愛情を取り戻し、リンダもそれを確認する事が出来たのだ…、そう思わせる流れにはグッと来るものがあり、予定調和的ハッピーエンドを覆されながらも、不思議な満足感が得られた気がする。でも、火曜にあんな事があったのに、ジムが水曜にああいう心境になると言うのは、本当の時系列的には違和感あり。物語上の時系列では日曜→水曜の流れだから、しっくり来てる様に見えるけど…。まぁ、釈然としない部分は結構あるけれど、映画の日に見る分には一応、当たりと思える作品だったかな。
PS.一番ゾッとしたのは、ゴミ箱の蓋を開けたシーン。ショッキング過ぎる! 「SAW」のゴアシーンなんか目じゃない、リアルなおぞましさ!(笑)。あと、葬儀屋の迂闊っぷりが酷過ぎた。あの時、リンダは騒いでたものの、別に搬送の邪魔はしてなかったよね。
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ここの欄にコメントしていいかどうか迷いましたが、久しぶりに川相さんのネタを観たのでここに書き込ませてもらいます。
先日放送された吉本新喜劇で、川相さんをネタにしたギャグがありました。
ただ、川相さんが一線を退いてから一年以上経過した為か、阪神からみたら敵チームに所属していた為か、あるいは演者が下手だった為か、川相さんをネタにしたギャグはあまり受けが良くないようでした。
今年のキャンプ、中日スポーツでは川相さんの記事がいささか少ないので、川相さんが選手にどんな指導をしているのか、よくわかりません。
ただ、今年はチームが大きく変わる時期ですので、試合で生きた教材(川相さんのプレー)を見せるのが、若い選手を指導する上で一番いいと思うのですが…。