June 02, 2008 21:42

引き返せない無間地獄! ストーカー女、悪夢の完全勝利! / 今週の「ドカパロSS 超絶無間地獄変」 1

 岩鬼との電撃結婚を果たし、早速、新居に引っ越してきた夏子はん。政略結婚を強いられて、夫と姑に弾圧され続けた辛い過去を思い返しながら、ようやく訪れた幸せな朝に感激していると、遙と早朝ジョギングをしていた岩鬼が帰ってくる。すると、頭上から呼びかけられた岩鬼は声の方向を見上げてみると、そこには殿馬の姿が…。何と岩鬼の新居は殿馬のマンションの真ん前だったのだ。更に、殿馬の後ろからストーカー女が出現。同棲生活に入っているのかと勘繰る岩鬼だったが、ストーカー女曰く、式は挙げていないが、既に籍は入れているのだと言う。相変わらず、図々しい事この上ないこの女は詳細を話すからと、いけしゃあしゃあと岩鬼家に朝食の用意を強要。今日だけだと憤慨する岩鬼に対して、図々しくも頻繁に訪れては家事をさぼろうと画策するのだった。結婚効果により、岩鬼は好調をキープし、出塁率は何と5割超。一方、殿馬はストーカー女のさげまん効果にもめけず、元々の高いポテンシャルを発揮し、こちらも5割超の出塁率をマーク。好調の1,2番コンビの活躍により、東京は首位をキープした儘、交流戦初戦の横浜戦を迎える事に…。東京のバッティング練習中、近付いてきた横浜・斉藤コーチは横浜出身だからだの、来季は2度目のFA権を取得出来るからだのと明訓四天王に対して、執拗なタンバリングを敢行。情に篤い山田や岩鬼が無下にする事も出来ない態度を取るのを見て、言ってみるものだと斉藤コーチは僅かな可能性が芽生えた事にほくそ笑む。そして、横浜の先発マウンドにははーちゅんが上り、いよいよプレーボールとなるのだった。

 夏子はんが無駄な回り道をしながらも幸せになったのはいいとして、その一方で殿馬は絶え間なく続く無間地獄に陥っていた事が明らかに…。明瞭にされなかった事で辛うじて繋いできた希望と言う細い糸が完全に断ち切られたと言っていい。散々ダメ出しを続けてきたこの作品だが、ついに取り返しのつかない事をやっちまったよ、水島氏は…。「ドカベン プロ野球編」が始まった頃、殿馬の人生がこんな悲惨な事になろうとは誰が予想しただろうか。まったく破戒僧・清原も余計な事を言ってくれたもんだ…。やはり、この作品は「ドカプロ」が「ドカパロ」化してきた辺りで編集部側がどんな事をしてでも連載を打ち切らせるべきだったのだ。水島氏はこんな救いようのない作品をライフワークなんぞにせず、また明日なき高校野球漫画描きに戻って欲しいものだ。あまりの絶望的な展開にもう他の事を書く気力もないのだが、少しは触れておこう。交流戦の相手として白羽の矢を立てられたのは横浜。戦局的に横浜をチョイスする理由がよく分からないのだが、明訓勢を横浜に移籍させようと企む斉藤コーチのエピソードが描きたかっただけなのだろうか? 3度目のFA権って、2度目のFA権をいつ取得して行使したんだよ? どうせ横浜のメンバーなんて誰一人似ていないのだろうし、ヒゲが生えているから辛うじて本人だと認識して貰えるであろう斉藤コーチの出番が無駄に増えそうだ。それにしても、山田,岩鬼,殿馬,微笑の4人がいる所で、「四天王」と呼びかけられたにも拘わらず、その場にいない里中の話をされて、全く眼中に入れて貰えない微笑が凄く哀れ…。巨人で松井さんを差し置いて本塁打王になった事なんてすっかり忘れられてるよ…。

無間地獄
地獄変 (集英社文庫)
放送禁止3 ストーカー地獄篇
ストーカー規制法解説

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コメント一覧

1. Posted by Riser   June 02, 2008 22:31
心中お察しします。
やはり水島作品の良さは高校野球にありますよね。時系列を無視してでも、大甲子園にKジロー、極道くんなどを加えた真の「大」甲子園を死ぬまでに描いて欲しいと、ずっと思っています。
2. Posted by K.H   June 04, 2008 14:12
実在選手が主人公達の噛ませ犬及び引き立て役に
ならずに済む野球漫画というものは、
描けないものなんでしょうか?
往年の「巨人の星」「侍ジャイアンツ」、
更には先生自身の作品では「野球狂の詩」の頃は、
主人公達が実在選手を凌駕せずに済んでいた筈だと
思うのですが…。だからと言って、
「野球漫画は、全てがフィクションの中だけで完結できる、
高校迄に留めて置くべきだ」と言うのは、
ある種の暴論に他ならないと思います。
「光の小次郎」の様に、全て架空球団と言うのも、
一つの方法ではありますが…。
そもそも、先生は今年で漫画化生活50周年という
高齢なのですから、原作者を他に立てて、
自身は作画に専念した方が、
まだストーリーが破綻せずに済んでいたかも知れません。
そうでなければ、いっその事、
漫画化生活から退いた方が良い様な気もします。
3. Posted by 主砲・原   June 05, 2008 11:47
>K.Hさん
梶原作品のオリキャラの支配世界と言うのは凄くミクロなので
実在選手が汚されないで済んでいる訳なんですが
水島作品はマクロなんで、大いに問題がある訳です。
オリジナル球団 vs 実在球団と言う作品では
個人的には「やまだたいちの奇蹟」など、実在選手が
それなりに敬意を受けつつ、バランスが取れていたと思う次第です
(よだれや鼻水垂れ流しまくっていたのはともかくとして)。
高校野球漫画に専念した方がいいと言うのは
あくまで今の水島氏の力量,指向性に問題がある訳で
一般論ではありませんよ。
散々言っている様に「ドカパロ」は「ドカベン」のパロディ漫画を
過去の威光で商業誌に載せて貰っているも同然の作品な訳です。
同人誌なら幾ら好き勝手に自キャラ礼賛モードを
繰り広げても文句言いませんが、商業誌でやるなと…。
4. Posted by 主砲・原   June 05, 2008 11:56
>Riserさん
「超地獄変」に変わった時のレビューを見返したら
今回と殆ど同じ事書いてて苦笑してしまいました。
私も「大甲子園」はもっとスケールアップして描いて欲しかったクチです。
水島作品に関わる県予選を全て刻銘に描き
甲子園に入ったら全試合をきっちり描ききる。
「グラップラー刃牙」のトーナメント編みたいな感じで…。
明訓ナインの登場頻度は格段に落ちてしまうものの、そこは割り切って貰って…。
そうすると、未だに続いているかもしれない大巨編になった筈…。
千葉県予選だけでもかなり熱いと思うんですけどねぇ。
土佐丸 vs 室戸学習塾とか、通天閣 vs 南波とかもかなり見たかったし…。
流石に、Kジローは時間軸的に無理ですが、極道くんは出せた筈…。
清正 vs りんご園が実現すると、どうなるのかも気になります。

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