October 15, 2006 21:44
名手・川相、引退試合! 攻守に渡る大活躍で花添える!
衝撃の引退発表から一夜明け、早速、トーチュウを購入してきた。案の定、川相は自分から引退を決めたのではなく、フロントからのコーチ要請を快諾すると言う形で身を退いた様だ。これは正に、3年前に巨人を暫定的に引退した時と全く同じパターンではないか。川相は「義」に生きる男である。巨人時代もまだまだ動けると自負し、現役に未練を残しながらも、若大将の気持ちに応えて引退を決意した。巨人を出る事になったのは、巨人フロントが川相の重んじた「義」をないがしろにしたからだ。その辺り、中日はうまい事やった。巨人退団後に拾って貰った事に恩義を感じていた川相はコーチ打診を断る訳にはいかなかった。逆に言えば、コーチ要請の打診などされず、ただ来季は戦力外だと通告されたならば、川相は他球団での現役続行を希望したのではなかろうかとかもしれない。選手であるにせよ、指導者であるにせよ、中日は川相の他球団(特に巨人への)流出は何としても阻止したかったに違いない。川相を敵に回す事は自軍にとって脅威にしかならないからだ。ならば、コーチとして囲い込もうと言う結論に至るのは球団の戦略としては当然なのかもしれない。しかし、依然として球界随一の技術を持つ球界の至宝を現役引退に追い込む様な球界全体の損失に繋がる行為を犯すに当たっては、あまりにも小さな理由である。このどうにも納得のいかない気持ちに関しては書いても書いてもキリがなくなるばかりなので、とりあえず、この辺で引退試合の話へ移ろう。
2度も大仰な引退試合をやって貰えるなんて、果たして、川相の他に誰がいるだろうか? どうせだから、再び引退を撤回し、3度目の引退試合開催を目指して貰いたい所だ…などと言う発想にどうしても行き着いてしまう往生際の悪い私である。引退試合において、川相は2番サードでスタメン出場。流石に人気絶大の川相は名前がコールされると盛大な拍手と歓声に迎えられながら、サードの守備へ。この大歓声を聞いただけでも、まだ限界を迎えていない川相にユニフォームを脱がせる事がどれ程の罪深い事か分かろうと言うものだ。
その川相、早速、初回から守備機会が訪れる。無死一塁の場面で藤田が三塁前へ送りバント。堅実無比の守備力を誇る名手・川相はこれを軽快に捌いて、一塁へ好返球し、藤田を刺す。これ程の動きを見せる選手を42歳だからと言って、ロートル扱いし、後進に道を譲れなどと安易に言う事がどれ程…(略)。
この後、村田のタイムリーで先制されて迎えた1回裏、荒木は川相にバントの機会を作ろうと必死に食らい付いていたが、無念の空振り三振。一死走者なしで打席に入った川相には当然、強攻策しかない。実に6月30日以来と言う久々の打席となる川相は初球から積極果敢に振って出るも、岸本の147kmのストレートを空振り。長らく生きた球を打つ機会を剥奪されていたのは、やはり痛かったかと思わせたのも束の間、続く2球目を見事に弾き返すレフト前ヒット。素晴らしいバッティングだ! あれ程、長期に渡って幽閉されながら、なおこれ程のバッティングが出来る選手を代打要員として徹底的に後回しにしてきた事がどれ程…(略)。
先発・中田は川相の引退試合を何とか白星で飾りたいと言う気負いからか、2回も連打を浴びて、ピンチを迎える。しかし、相川を空振り三振に取った後、続く岸本の送りバントを処理して、三塁へ転送。素早くベースに戻った名手・川相は中田からの送球を受けるや、すかさず一塁へ矢の様な送球を送り、ゲッツーを完成。肩にも衰えを感じさせない川相。まだまだ守備固め要員としても十二分に働ける男に3ヶ月も出場機会を与えなかった事がどれ程…(略)。
3回には先頭の荒木が二塁打を放ち、待望の走者のいる場面での打席を迎えた川相は明らかにバントと警戒されている場面で、初球をいともあっさり三塁線へ転がす芸術技を炸裂させ、前人未踏の通算犠打記録を533と更新。紛れもなく、球界随一の職人技を持っている選手を無為に一線から退かせる事がどれ程…(略)。
この後、福留が川相の作ったチャンスを無駄にする訳にはいかないとばかりにセンター前へ同点タイムリーを浴びせると、更に、T.ウッズが歩いた後、森野も川相の作ったチャンスを無駄にする訳にはいかないとばかりにライト前へタイムリーを放ち、勝ち越しに成功。直後の4回、この回から人斬り抜刀斎がマウンドへ。一死後、吉村の打球は三遊間を痛烈に襲うも、これを名手・川相が鋭い反応でダイビングキャッチ。素早く起きあがって一塁へ転送するも、グラブの先っぽにひっかけた捕った為にすんなり握れなかった事が響き、惜しくも内野安打に。しかし、あの鋭い打球に反応出来る川相の動きはとても今季でグラウンドを去らねばならない様な選手には思えず、それを強いる事がどれ程…(略)。
そして、迎えた5回の第3打席。先頭打者と言う事で強攻策確定となるこの打席でヒットを打てば、打率は3割に乗るとあって、大いに期待は高まるばかり。簡単に2−0と追い込まれたものの、ここからファールで粘るのが川相の真骨頂だ。しかし、最後は無念の空振り三振に終わり、惜しくも3割到達ならず。
7回に入った所で井端がサードに回り、名手・川相はついに聖域ショートへ。しかし、残念ながら守備機会はなし。その裏、またもや先頭打者として打席に入った川相はまたも追い込まれてから、ファールで粘ったものの、最後は顔面近くのインハイにバットが出てしまい、空振り三振。川相はこの回限りでお役御免となった為、これが公式戦最後の打席となった。ここまでやったなら、フル出場して欲しかったのに残念…。
試合は中田−人斬り抜刀斎−山本昌と言う豪華リレーで横浜打線をスミ1に抑え、川相効果による1点のリードを守りきって、本拠地最終戦に勝利。試合後、今季限りで辞任する牛島監督へ現役時代トレードの交換相手となった因縁の落合監督から花束が贈呈されると、ここからいよいよ名手・川相の引退セレモニーへ。奥さんと5人の子供から花束を受け取った川相はファンに最後の挨拶を行った。
「本日、日本シリーズの前の大切な試合の日にこの様な痛いセレモニーをやって頂いて、球団を初め、監督,選手,そして、ファンの皆様に感謝申し上げます。本当に有難うございます。今年一杯で24年間の現役生活を終える事になりました。ジャイアンツで21年、そして、このドラゴンズで3年。特に、ドラゴンズでの3年は僕にとって本当に素晴らしい3年でした。3年前、ジャイアンツを辞める事になった時に落合監督に声掛けて頂いて、そして球団にお世話になる事になって、素晴らしいファン,スタッフ,そして、素晴らしい仲間達と出会う事が出来ました。こんな誇りに思える事はありません。一週間後に日本シリーズがあります。それを有終の美にして、本当の引退にしたいと思います。精一杯全員で頑張りますので、公式戦以上の熱い熱い声援を宜しくお願いします。24年間本当に有難うございました」
在籍年数は巨人時代の1/7に過ぎない中日での生活だが、巨人時代とは違う意味でのやり甲斐,喜びを見つけた事が感じられるいい挨拶だった。流石に、現役に対する未練をこんな所で漏らしたりはしないよな…。落合監督は日本シリーズでは戦力と考えていると言っていたが(日本シリーズで必要不可欠な戦力を何故、ペナントレースで使わないのかと言う点で不満と疑問は残るのだが)、これを信じるならば、まだ川相の戦いは終わっていない。ご苦労様,お疲れ様と言った言葉を投げかけるのはもう少し先になりそうだ。日本シリーズと言わず、アジアシリーズまで勝利に貢献出来る様に頑張って欲しい所だ。
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コメント一覧
冗談抜きで、今の現役の中にどれだけ川相よりバッティング+守備の総合力が高い選手がいるのか、正直疑問です。本当に川相を選手としておいて置くだけの余地が中日にはないのでしょうか……、そして置いておかないだけの余裕があるのでしょうか。もう少し考えて欲しかった。返す返すも残念です。