February 05, 2006 22:07
「ピーナッツ」
映画監督になりたいと上京してきたウッチャンの悲願の初監督作品。役者・内村光良にベタ惚れの上、しかも、野球映画とあれば、もう見るしかないってモンだ。公開初日に行く予定だったが、今日までずれ込んでしまった。渋谷での舞台挨拶の回は電話が一向に繋がらないまま、早々とチケット完売で確保失敗。舞台挨拶が見られないなら、わざわざ渋谷まで遠征するより、近場の新高島の方が楽だと言う事で、「フライトプラン」とのはしご計画を立てた訳だが、何と上映2時間半前の段階で満席。次の回は21時過ぎでこれを見ると連れが当日中に帰宅出来ないと言うので、後日延期を余儀なくされてしまった。そもそも、1日に2回上映って少な過ぎるんだよ!>109シネマズMM。その上、関東で5館でしか上映してないから(1/28現在)、客が集中しちゃうんだろうねぇ。あんなにプロモーションしまくってるのに、何でそんな、どマイナー作品扱いなのさ。そんな事があったもんだから、今回は渋谷で9時頃からチケット確保に行ってしまったよ。さて、前置きはここまでにして、この辺であらすじを紹介。
かつて甲州最強と言われた草野球チーム「富士沢ピーナッツ」だったが、主力が次々と離れ、今や9人揃える事すら一苦労と言う凋落ぶり。そんな中、10年前、一人トリプルプレーを完成させ、優勝に導いた”伝説のサード”秋吉が帰ってきた。10年前の優勝を取り上げたエッセイで高い評価を得て以来、スポーツライターとしての活躍する秋吉の号令で徐々にメンバーが集まり出す。一方、商店街の会長も務める草野監督は東和ニュータウンから都市再開発の圧力をかけられていた。その計画が実行されると、住民の立ち退きだけでなく、思い出深い野球場までが取り壊されてしまう。札束攻勢の前に再開発賛成派も増えていき、追い詰められた草野は社会人野球最強と言われる「東和ニュータウンズ」相手の草野球で賭け試合を提案。勝ったら再開発は中止,負けたら全面協力…。果たして、富士沢商店街の運命は!?(公式サイトはこちら)
役者本人のイメージを大事にした適材適所のキャスティング。芝居は素人のお笑い芸人ばかり集めた仲良し企画映画などと思うなかれ…。「内P」ファンは勿論の事、野球ファンなら十分に楽しめる作品だと断言しよう。そして、両方共好きな私の様な人なら、もう言う事なしだろう。笑いあり涙あり感動あり。大筋は結構、ベタなので、新鮮味はないかもしれないけれど、主要キャラにそれぞれのドラマがあり、行き過ぎたご都合主義の展開もなし(社会人野球最強チームと互角なのはご都合主義…と思うかもしれないが、阪神がたけし軍団に負けた事でも分かる様に、軟式では往々にして実力差が縮まる事はあるのだ)。何より野球シーンが十分見応えあると言う点で野球映画として高く評価したい。スタントマンによる吹き替えもCGも全くなし。相手チームは全員野球経験者と言う徹底ぶりだ。「ピーナッツ」は最初、チャールズ・M・シュルツの「ピーナッツ」(スヌーピーの漫画と言った方が分かりやすいだろうか?)からの引用なのかなぁと思ったのだが(あの作品も結構、野球ネタが多いしね)、単に、元々予定していた舞台が千葉だったからだそうで…。ユニフォームが思いっきり「がんばれ!ベアーズ」がモデルなのも、同作品のファンでもある私は嬉しかった。ウッチャンが初めて映画館で2回続けて観た映画なんだそうで…。「うちのテイタム・オニールになってくれ」なんて台詞にはニヤリとさせられるのだけど、20歳の女の子がテイタム・オニールとか言われても、果たして、理解出来るのだろうか?(^^;)。この辺で(主に芸人キャストの)登場人物語りをしてみるの事。
これ以降は後日談の事など、ネタバレ満載なので注意。そう、エンディングのスタッフロールではスタッフロールを悠長に見ていられない後日談が流れるのだ。なので、間違っても本編が終わったからと、すぐに席を立ったりしない様に!
【秋吉光一(内村光良):サード】
スポーツライター。「富士沢ピーナッツ」で”伝説のサード”と語り草になっている。相良曰く一挙手一投足が全て”伝説”。へばって休んでいても”伝説の休憩”らしい。登場シーンでボールを弄ぶ所とか、ノックで曲芸捕りを連発する辺りは流石。勿論、何テイクもやり直してるんだろうけど、こういう所で魅せようとしてくれるのはウッチャンならでは…。もうこれだけでもお腹一杯(^^;)。追いかけていた万引き犯が開き直って向かって来た時には得意のカンフー炸裂か…!?と一瞬、期待してしまったけど、それは違うキャラって事で…。「オカマ」呼ばわりしていた宮本を部屋で二人きりになると「店長」と呼ぶのが妙にツボ。伝説伝説言われてる割には、意外と試合では地味〜な印象だったが、最後の最後でバロン森ばりのプレーを見せた。バロン森はあれで死んじまった事を考えると、凄いぜ、秋吉! 後日談によると、カーリングネタを執筆中で、次はクリケットに興味…との事。無理にメジャースポーツに走るより、本当に書きたい事を書くべきだと悟った訳だが、折角だから、マイナーついでに、インディアカとかヤールギュレシュとかにしてくれたら「内P」っぽくて笑えたのに…。
【相良和雄(三村マサカズ):ピッチャー(キャプテン)→ショート】
相良酒店店主二代目。理解のある妻と父親思いの愛娘がいる。再開発に最も反対している男。チーム創設以来のメンバーでキャプテン。実力は並だが、野球への情熱は随一。最後の最後でいい意味でも悪い意味でもおいしい所を持っていったこの人は、ウッチャン曰く真の主役らしい。プライベートでは本当にこんな感じで暮らしてるんじゃないかと思わせるくらいの適役。娘絡みでかなり株が上がったおいしい役どころだったなぁ。評判通り、最初はいかにも「芝居してる〜」って感じでおぼつかなかったが、家族のシーンでは妙にきっちり決めていた。後日談ではキャプテンなのに戦力外通告(笑)。不摂生で体が動かなくなっていってるのは、本人同様?(^^;)
【勝田一鉄(ゴルゴ松本):ショート→ピッチャー】
小料理屋「一鉄」主人。ロシア人・トスカーニャを妻に持つ。10年前の優勝時にエースだったが、最後の一球で肩を壊して、野球とは縁を切っていた。ゴルゴ、小料理屋の主人役がハマり過ぎ。違和感ゼロなのが凄い。トスカーニャとは終始、夫婦漫才を展開。この作品、野球シーンも含めて、一番カッコいいのはこの人なんじゃないかなぁ。あんなにシリアスに決めていたのに、実は、肩が壊れたのは勘違いで、10年も無駄にしてしまっていた事に気付いた所が大笑い。試合前から気付いていれば、再開発中止に追い込めたであろう事を考えると、宮本以上のA級戦犯と言えなくもないよなぁ。勘違いかと油断していたが、やっぱり壊れていて、また土壇場で肩をやっちまうのでは?なんて、いらぬ心配をしてしまったが、全くの杞憂。後日談では、150km近い球速を投げられる様になってるとか…。小料理屋なんかやってないで、プロに行けよ!(笑)
【赤岩登(レッド吉田):キャッチャー】
父が園長を務めるこりす幼稚園の保父。高校時代は秋吉と共に注目されていたスラッガー。「ピーナッツ」のマネージャーであり、妻でもあるアカネは乳ガンで入院しており、気を使って、なかなか試合に来られない。泣きのシーンで一番おいしいのはこの人かなぁ(相良と思う人もいるだろうが)。手術に向かうアカネとのやり取りは非常にベタではあるが、グッときた。しかし、試合での使いどころには少々釈然としない。まず、遅れて駆けつけてきたシーンについては…、チャンスに打席が回り、ケガを押して打席に迎おうとするみゆきだったが、あまりの痛みに歩く事が出来ない→代わりの選手もいない為、この儘では棄権するしか…と言う流れで登場すれば、かなりドラマチックだった。しかも、5回はタイムリーを放ったものの、最後の最後で地味〜にキャッチャーファールフライだなんて…。世の中、そうそうドラマチックに事は運ばない…と言うリアルさをあえて演出していると見るべきなんだろうか。林檎の皮剥きが生まれて初めて…と言うのを聞いていたので、台詞を喋る度に剥いている手が止まるのには、ついついニヤけてしまった(^^;)。
【文野正樹(大竹一樹):ファースト】
文野靴店は借金の為、閉店。妻には逃げられ、定職にもつかず、借金取りから逃げながら、パチンコで生計を立てるダメ人間。借金取りに奪われたグローブを取り返しに水鉄砲で事務所に乗り込み、本当に逮捕されてしまう展開は驚いた。でも、あんな簡単に釈放して貰えちゃうんだ。「更生しました」「もうかよ!」と、三村とのコンビ芸は最高。後日談でまた逮捕されてる辺り、全然更生してない様で…。役柄が役柄だけに、お笑いの延長的な雰囲気が強かったのだが、この人は結構、計算して演じてる気がする。野球シーンでは意外にも結構、活躍。アヤしげな構えで四球を稼いだ所もおかしかったが、同じ手が通用せず、正攻法であっさりヒット打ったシーンの方が何だか笑ってしまったなぁ。
【宮本良一(ふかわりょう):ライト】
宮本音楽堂店長。毎日の様に絶えない万引きに悩まされている。監督の娘・みゆきに片思い。秋吉からは「オカマ」扱いされていたが、店長とバイトと言う間柄になってから、微妙〜な関係に発展。この微妙〜さが何とも言えずいい味を出していた。野球はてんで下手だが、足だけは速いと言う設定は万引きを捕らえる為にしか生かされなかったのが残念。流石に、最後のセーフティバントは俊足を生かして成功すると思ったのだが…。9回裏の攻撃は、赤岩と言い、相良と言い、想いが強ければ、何でも出来る…と言う程、現実は甘くない事が徹底して描かれている様な気がしたなぁ。みゆきとの賭けには負けたものの、最後、何となくいい雰囲気になったかに見えたが、後日談でフラれた事が発覚するなど、最後まで報われない人だった。ふかわの両親が宮本の両親役で出てきたのにはびっくり。ふかわの親父さん、バイオリン上手いねぇ。あと、マイカーは予想通り、黄色のワーゲン(笑)。
【草野みゆき(佐藤めぐみ):セカンド】
草野監督の一人娘。短大に通いながら、ファミレスでアルバイト。高校まで軟式野球をやっていた。宮本の執拗なアプローチを軽くあしらい続ける。宮本の事は憎からず思っている様にも見えたが、結局、後日談ではアキオとくっついた。宮本をふった段階で、もしや…と思ったが、やっぱりアキオかよ! 安易にイケメンを選ぶ様なタイプには見えないのだが…。高校まで軟式野球をやっていた設定の割には、野球の動きはイマイチだったのが残念。
【秋山ハルオ(飯尾和樹):キャッチャー→セカンド/ナツオ(青木忠宏):レフト/アキオ(藤重政孝):センター】
クリーニングニコニコ堂の三兄弟。岩みたいな顔,チビ,イケメン…と見た目はさっぱり似てないが仕草がそっくり。アキオはみゆきとくっついて以来、監督から厳しくされているとの事。本編では常に3人セットな感じで個性が前面には出なかったが、赤岩が試合に間に合わなかった事で急遽、キャッチャーへ回ったハルオだけはちょっと目立てた。左のキャッチャーと言うのが味があっていいね。こういう緊急措置は草野球ならでは。残念ながら、ずんのやすは登場せず。
【トスカーニャ(Adeyto)】
ひたすら一鉄に尽くす恋女房のロシア人。常に着物に身を包み、店のおかみも務める。ロシア人のくせにどこで覚えたのか、四字熟語を連発。試合中にはただ一人のチアガールとして「ピーナッツ」を応援するが、掛け声はやっぱり四字熟語ばかり(笑)。今や日本でも消えつつある尽くす女を地で行くがロシア人…と言うギャップを見せ続けた後、着物姿から一変、チアガール姿となるギャップが凄い。しかも、これが思いの外、似合い過ぎで可愛いのがおかしい(笑)。
【アゴ男爵(有田哲平)】
「アゴ男爵」と本編で呼ばれている訳ではなく、本名も不明。いつもジャージ姿で何かを食べながら、「ピーナッツ」の試合や練習をいつも覗きに来る。本当はメンバーに加わりたいのだが、自分から申し出るのは嫌な様で、メンバーが足りない状況で声を掛けてくるのを待っている。しかし、声を掛けられるどころか、存在さえ意識して貰えなかった。出てくるだけでおかしく、カメオ出演組では一番おいしかった人。「アゴが出てるよ、アゴが出てる〜」、いや、アゴが出てるのはあんただろ(笑)。
【園部修二(入江雅人)】
秋吉の担当編集者。大筋に影響は及ぼさないので、あまり語る部分はないのだが、SHA.LA.LA好きの私としては、ウッチャン,入江,出川が揃い踏みの報に大喜びしたものだった。まぁ、出川はどこに出ていたかも分からないくらいの役だったけど、この人は普通〜にカッコよかったね。
【スポーツショップの客(ウド鈴木)】
アカネから赤岩へのプレゼント購入を頼まれた秋吉と赤バットを巡って死闘を演じるが、いい人なので譲ってくれた。代わりに持っていった巨大バットはどうするつもりなのか? あのサイズじゃ、規格外で試合には使えんでしょ(笑)。熱烈な出演直訴により、急遽、割り込ませて貰ったシーンは全編アドリブだそうだが、流石に、ポケビコンビは息が合ってるねぇ。
【飲み屋の客(竹中直人)】
文野の元妻がママを務めるスナック「来夢来人」で2時間延々マイクを離さずにカラオケに興じる。文野が嫌がらせで水鉄砲を浴びせまくっても、全く動じない。やっぱり出たか、竹中直人。またもや変な役だ(笑)。あのおばさんパーマみたいな髪型は一体…。
【警官(原田泰造)】
文野が入れられた留置所の警官。借金取りからピーナッツの帽子とグラブを取り返してくれたり、試合当日に釈放される事になった文野に暖かい言葉をかけ、球場までパトカーで送ってくれたりと、かなりいい人。野球経験者であの球場に思い出があるんなら、「ピーナッツ」に入ってやってくれ…って、賭け試合の事は部外秘だから、そういう意味合いでは誘えないか。何より非番じゃなかった様だし…。
【駅員(出川哲朗)】
残念ながら、私はいつどこに出ていたのか、気付けなかった。悔しい〜。事前にパンフを読んでおけば良かったなぁ。
役者が本業の人達はほぼ割愛させて貰おう。最後は相良の不覚の転倒で無情にも敗れてしまった「ピーナッツ」。転倒は仕方ないが、1点負けてるあの状況で二塁を回るのは完全に暴走だよなぁ。これが「MAJOR」だと、相良を初めとする「ピーナッツ」メンバーの必死のプレーを見たニュータウンズの面々が「こいつらから野球は奪えない」とか言って、再開発は中止しないまでも野球場の取り壊しだけはなしにして貰える展開なのだが、そうは問屋が卸さなかったか。賭け試合の事はトップシークレットだったけれど、あれって、反対派は全員「ピーナッツ」メンバーな訳ではないよね? 向こうが持ちかけてきた話ならともかく、監督から言い出した事だし、「ピーナッツ」に所属してなくて再開発に反対してた人にはいい迷惑でしょ。試合後も、そういう意味での後ろめたさが感じられなかったのは、ちょっと釈然としなかった。あれはやっぱり絶対絶命の状況で向こうから持ちかけてきた話にしておいた方が良かった様に思うなぁ。球場はなくなったが、彼らは野球を諦めた訳でもなく、パラバラになっても「ピーナッツ」のメンバーとして頑張ってる様子なのは大いなる救いと言えるだろう。損得勘定の賭け試合に拘るのではなく、野球が好きだから精一杯やるんだ、と言う野球への愛情が感じられる試合だったと思う。
「フライトプラン」とのはしご計画が頓挫した事は先述の通りだが、結果的に別の日にしておいて良かった。予定では「ピーナッツ」を後に見るつもりだったのだが、同じ日に見てたら、「フライトプラン」霞んでたわ、こりゃ…。短いスパンで繰り返し見てみたくなる一作。早くDVD発売されないかなぁ。とりあえず、「裏ピーナッツ」を買って、空白の期間を埋める事にしますかね。
されど草野球―あれから10年
裏ピーナッツ
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コメント一覧
今週末には劇場に行けそうなので,その後またゆっくりと寄らせていただきます。ありがとうございました。
前々からもう1回見たいな〜と思っていましたが
記事を読ませていただいて前以上にもう一回見たくなりました(笑)
僕も早々のDVD化を期待しています!
この作品はちょっと落ち込んだ時なんかに見たいですねo(^o^)o
住んでいる所では上映されないのでDVDで観ます。
感想を拝見して思い出し笑いをしています♪どのシーンもツボです、本当にいい作品でした。
DVDが早く欲しいです。
TBありがとうございました。
こちらからも、TBさせていただきました(^-^)
感想を拝見して「そうそう」って思えるところがいっぱいありました。
もう1回見たいです。
新潟ではたった1館での公開です。公開直前まで新潟で公開されるかどうか、「ビーナッツ」公式サイトでも確認できませんでした。まぁ、公開されたので良かったのですが。
それぞれのキャストさんへのコメント、すばらしいです☆
それぞれに突っ込みどころ満載でしたよね!
名古屋でも1館での上映です。もったいないなぁという気持ちがしますね。
TBさせていただきました!
http://f45.aaa.livedoor.jp/~lodestar/index.php
http://www.adeyto.com
TBさせていただきました。
記事の厚みに脱帽です。
細部までよく記述してあったので、忘れかけていた部分を鮮明に思い出すことができました。
有田はアゴ男爵ですか。笑
いろいろ気になるところがいっぱいありましたよね。
映画としても面白かったし、内ピー的にも気になるところ満載でした。
私も 今の若い人にわかるかなぁ〜・・と思ったのですが
「がんばれベアーズニューシーズン」が 少し前に公開されたので
そちらから 話を理解するヒトもいたかもですね・・こちらからもTBさせていただきました。宜しくお願いします。