November 21, 2005 23:37

伝説の必殺技「人間ナイアガラ」大炸裂! / 「アストロ球団」 第八球(前編) 5

 ついにこの日がやってきた! 放送開始以来待ち焦がれた伝説の超技がいよいよ炸裂する!

【偽りのオカマ野郎・バロン森見参!】
「私の名前? ちょっと恥ずかしいけど、バロン森って言うの!」

前回の球八の悲痛なる叫びで終わった引きは一体どうなってしまったのか!? あの名シーンが思いっきり放置されて、まるで何事もなかった様に始まったバロン森の初登場シーンはあまりに唐突過ぎて訳が分かりません(笑)。スタンドで指揮棒を揮っていたかと思えば、オカマ口調で男の何たるかを語り出して、グラウンドに乗り込んだかと思えば、ビクトリーベンチで香水を振りまきながら、オールヌードを披露。「アストロ球団」初心者の唖然としている姿が目に浮かぶが、本当に唖然とする展開はまだまだこれからだ! バロンのカマっぷりにセンターの位置から二人揃って吐き気をもよおす明智兄弟,思いっきり振り遅れのバロンの空振りに「はぁっ?」と呆れる球一が妙に可愛い。球四郎曰く「昨日今日バットを持ったヤツ」だが「野球理論は一流」との事。これだけ聞いてると、単なる頭でっかちに思えるが、たった3球で球一の球威の衰えを見抜くなど、ただ者ではない事を予感させる。

「おのれら、ええ加減、目ぇ覚まさんかい!」

ここまでひたすらオカマ調だったバロンが、突然、ナインの奇形バットを集めて、叩き折ると、態度を豹変。原作の球二曰く「子供の様に無邪気さ猛獣の様な冷酷さが同居」しており、どこまでが芝居なのか分からないが、芯は一本通った男である所がバロンの魅力だろう。

【アストロワンの集大成・ファントム魔球、地味なデビュー!】
バロンの登場により、ナインへの主導権を奪われ、どんどん孤立する一方…と言う程には時間の都合上、至っていないが、とりあえず、プライドを踏みにじられてぶちキレ寸前の大門はバロンにあてつけるかの様にヌンチャクバットで打席に入る。大門の迫力に警戒する球一はついに最後の魔球「ファントム魔球」を披露する。アンダースローからオーバースローへと変わる投げ方で、途中で消えたボールが現れたと共に球威を増して、落ちてくる…。理屈はさっぱり分からないが、「アストロ球団」は「巨人の星」の様な魔球の謎解きなど全くない上、相手側も魔球攻略に試行錯誤する様な事は全くないので、そういう事は完全スルー。何故、こういう球を投げられるかと言えば、超人だから。超人の投げるボールの凄さに常人の立ち入る隙などありはしないのだ。しかし、球一の集大成の魔球も驚かれたのはほんの一瞬。序盤の七色の変化球も「ボールは必ずストライクゾーンを通る」とあっさり打ち砕いた大門はファントム魔球に驚くどころか、こけおどしの愚策の様に言い放ち「陣流拳法 無意無感有耳音の極」により、打倒の準備を整える。かつて球三郎と対峙した時に姿を消したアレだ。前にも書いたが、今の目の見えない球三郎なら大門の姿を見失うのは理解出来るのだが、目の見えていた球三郎が大門の姿を見失ってボコボコにされたのは訳が分からない。現に、今の状態の大門の姿も球一には普通に見えている訳で…。ともあれ、ボコボコにされた時の恐怖が忘れられないのか、ファントム魔球は打たれると断言し、敬遠を指示する球三郎。披露からたった2球で確実に破られると言われてしまう集大成の新魔球って一体…(+_+)。ここから勝負か敬遠かで右往左往する球一が面白い。

「まさか、俺に逃げろって言うのか?」(球一)
「逃げではありません。勝負には駆け引きも必要です」(球三郎)

ワナワナ震えながらも、敬遠を了承する球一。

「勝負せぃ、球一! おのれらの信条『一試合完全燃焼』はハリボテか!?」(大門)
「逃げじゃねぇ、駆け引きよ」(球一)

全く本音ではなさそうだが、球三郎の言い回しを引用しての逃げ口上を打つ球一だが…

「何の真似だ、球一! 超人は超人らしく、毅然と前向きに戦わねぇか!」(球七)
「見下げた男よ。己の様な小心者は即刻この場から失せぇ! 超人の名をたばかった面汚しが!」(大門)

原作では球三郎に「よけいなことを…」とまで言われてしまう球七の正に余計な一言に動揺する球一に大門が追い打ちをかける。球三郎は「自分一人がヒーローになり、有頂天になるのではなく、全体の為に動く」のが球一の役割であり、そこが球七と違う所と評しているのだが、それって、つまり「自分一人がヒーローになり、有頂天になる」のが球七…と、暗に言っている事になるんだよなぁ。結構、酷いっス…。この二人、実は相性最悪?(^^;)。ここで逆上した球一は一転して、勝負に出ようとするのだが、再び球三郎の説得攻撃が繰り出される。

「球一さん、グラウンドに未練を残し、床に伏した球五さんの想いを思えば、今またここで血を流す事は出来ない筈です」(球三郎)

球五を利用する球三郎の狡猾な話術が決まり、球一は結局、敬遠を敢行。球五が倒された時、「グラウンドの借りはグラウンドで返せ」と言う球五の言葉を借りて、怒りに震えるナインを制止させようとした当人である球一はこう言われてしまったら納得せざるをえまい。しかし、あの時、球三郎は怒りに震えていた連中の一人だった筈なのだが…。しかも、この人、この後で無駄に血を流そうとしている訳であり、実は説得力皆無だったりするんだよなぁ(^^;)。追い込まれるまでボール球に手を出してまで敬遠に抵抗した挙げ句に歩かされ、振り上げた拳の下ろし所を奪われた事をバロンに嘲笑われ、絶望に打ちひしがれながら涙を流す大門の凄まじい転落ぶりは完全カット。バロンによる大門の孤立化が甘く、どんどん追い詰められていく大門の描写が端折られるのは実に残念だ。

【第9の超人迫る! 峠会長の目的は!?】
かつては相手を振り回しまくっていた千葉先生も、すっかり振り回されまくっている今日この頃。峠会長から、9人目の超人の事を勿体ぶられて、少々苛ついているご様子。愛人の子として生まれた事で身内から追いやられ、幼少の頃は超人である事など判明していない筈なのに超人の痣の所為で虐げられてきたらしい球四郎。真の仲間やライバルと出会う事もなく、ここまできた球四郎を打ち負かして欲しいと言うのが真相の様だ。原作では最後まで傍観者の立場を貫いた9人目だが、この流れだと、もしかして、この試合中に味方になったりするのだろうか?

【球四郎、あっさり満塁弾! またも奪われる明智兄弟の見せ場!】
折角の新魔球に対して、いきなり身内から死刑宣告をされて意気消沈の球一は、初対決となる因縁の相手・球四郎に対して、何故かただのストレートを投げ込み、ランニングホーマーを浴びてしまう。超人野球の割には、意外とスピード感のないプレーが多かったのだが(特に、球七の快走をハショりまくるのがいかん!)、ここはなかなかスピード感があって良かった。球四郎に吹っ飛ばされた球二は可哀想だが、もっと可哀想なのは実は球七。打球を捕り逃したとは言え、一見、見せ場fあった…様に思えるが、原作のこの場面での明智兄弟のカッコよさとは比べ物にならない。球四郎はランニングホーマーなどではなく、球八が幾ら高く放り投げた所で絶対に追いつけないと分かる特大アーチを放つのだが、この時のやり取りが何とも熱い!

「捕る捕らねぇは問題じゃねぇ〜っ!
 捕ろうとする意思表示があいつらの自信に幾らかのに楔を打ち込む事になるんで〜っ
 あのクソ野郎どもをここで調子づかせちゃ絶対ならねぇ〜っ。飛ばせ〜っ、八〜〜〜っ!!」
(球七)
「飛べ〜っ、不死鳥〜っ!」(球八)

ああ、このシーン、大好きだったのになぁ…。一体、明智兄弟は命を懸けた火山特訓とやらの効果をいつになったら発揮してくれるのだろう?

【球三郎、決意の死に装束! 球二、怒りの殺人スライディング!】
球四郎は手を抜いているのか、球二ごときに簡単にタイムリー三塁打を浴び、またまた1点献上。ここで2度目のオールヌードを披露し、シャワー室で身を清めた球三郎は高校生の練習用ユニフォーム死に装束と思える真っ白なユニフォームで登場。無駄な血を流すなと球一に言っておきながら、自分は死ぬ気満々! そして、死地へ向かわんとする時でも自分の台詞に酔う事は忘れない!

「伊集院球三郎…、この世に生を受け十八年…。これ程までの友情を得た事、至上の幸せでした。さらば、我が友よ!」

ここで本盗に見せかけた殺人スライディングで打席の球三郎に妨害をかます男! 原作ではこの役目は球七であり、いかにも「味方殺し(笑)の球七」的な行動なのだが、ここでの担当は何と球二。初代球二の死を無駄にしたくない故の行動である事は嬉しいのだが、またまた球七の見せ場が奪われてしまった形となり、どうにも歯痒い。やはり、このシーン、球二では壮絶さに欠けるのは否めないだろう。一体、どれだけ球七の見せ場を奪えば気が済むのか…。

そして、大門との直接対決の前に球六の暴露大会が始まってしまう。大門は紛れもなく伊集院千岩の実子であり、陣平助の実子こそが球三郎だったのだ。球三郎と入れ違いで陣流拳法総本山に乗り込んだ球六があそこで球四郎と一悶着あったのかは一向に語られる様子がないが、ちゃっかり女中のとよサンから伊集院兄弟情報をリークされたらしい。先の打席で何の脈絡もなく胴着の帯を巻きだした大門の行動はこの上なく不自然だったのだが、どうやら大門が千岩の実子である証拠品として無理矢理引っ張り出したかった模様。実父殺しの事実を聞かされ、大門は一時、発狂モードに入るが、それも束の間、陣流拳法の掟に従っただけと開き直る外道ぶり。原作でも同様の台詞を吐く大門だが、実は既に真実を悟っていて球三郎を気遣って言ったのではないか?とすら思える感じだっただけに、思いっきり開き直っているだけにしか見えないのは残念。大門が自分は陣平助の子であると思うに至る経緯もさっぱり明かされないので、同情する余地が少ない様にも思える。尺の都合による端折り三昧の影響により、人間味と言う意味で一番損をしているのは、やはり、この男ではなかろうか。

【ついに炸裂! 伝説の超必殺技「人間ナイアガラ」!】
暴露大会も終わり、プレイ再開。球三郎のピッチャー返しを叩き落とした球四郎はとどめを刺せとばかりに大門へボールを送る。ここで!ついに!全国民が待ち焦がれた伝説の超必殺技が炸裂するのだ!!

astro08a_01.jpg 「これぞ、『人間ナイアガラ』!」
astro08a_02.jpg

おおっ、燃える〜っ! 6人同時に飛び上がり、バックにナイアガラの滝! ここまでの再現度はなかなかだ! この後の連続攻撃が何ともスピード感に欠けたのが、ちょっと残念。もっと一気にドカドカいって欲しかったなぁ。そして、攻撃が終わった後、後ろで棒立ちしてるビクトリーの面々が、妙に笑える。更に、この後、互いに跳び蹴りを打ち合う伊集院兄弟だが、伝説の名台詞…

「こんどめくらが〜っ!」

…は当然のごとくカット。球六がこのプレイの前に暴露大会を済ませてしまったのって、もしや、この台詞を言わせない為? 大門を倒したいんだか、大門に倒されたいんだか、全く訳の分からない球三郎だが、ここでまたまた自らの命を的にして、大門の気を晴らそうとする。逆鱗に触れた大門の拳が一閃。球六に羽交い締めにされながらも、球三郎の優しさが罪にもなると言う事を叫ぶ大門。

「親切や優しさを人に押しつけるな! たとえ、命を懸けていようが…………………
優しさなどでは……、人は救えん! 余計に相手を惨めにさせる事もあるのだ……」

「命を懸けていようが」の後、原作では「見返りを願う様な優しさなど偽善と言うものだ!」と続く。この言葉により、球三郎は自分が大門に犯してきた罪を激しく痛感させられる訳であり、これなしで「分かります!」とか言われても、ちょっと…なぁ。この時、大門は何か言いかけようとして、それを飲み込む様に、しばし沈黙している。まるでこの言葉を吐く事は球三郎を傷つけてしまう事になるから…とためらっているかの様にも見えるのだが、これはこの言葉を知っている原作ファンでなければ感じられない思考ではなかろうか…。

「兄さん……、死なないで下さい!」(球三郎)
「生憎、お前程、細やかな神経は持ち合わせておらん! 俺が死なねば理由など一つもない!」(大門)

このやり取りで一気に毒気も殺気も消えた大門。子供の頃の正義感溢れた聡明な兄が戻ってきた様な気がして微笑む球三郎。長きに渡る二人の確執が解消され、ついに和解の時が来た……かに見えたのだが……。

アストロ球団 決戦!! ビクトリー球団編

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2. 第八球前編  [ アストロ魂完全燃焼主義 ]   November 22, 2005 00:07
※自分勝手な感想(毎度のことだが) 原作で「ズラダダダ」と表現されるあの曲には、
3. アストロ球団 第八球(前編)  [  特撮!萌え散らかし劇場 ]   November 22, 2005 00:35
バロン〜♪バロン〜♪ バロンがきましたよ〜〜〜♪ ◆火野球九郎 まさに球技をするために生まれてきたような青年、球九郎のプロフィール。 あっ、チラっと半分、弓削ッチ が…
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5. アストロ球団だ  [ ガチでもいいじゃん ]   November 22, 2005 13:44
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コメント一覧

1. Posted by レッド   November 22, 2005 10:15
TBありがとうございました。こちらからもお返ししようと思ったんですが、ちょっと昨夜から上手く送信できない状態が続いておりまして。

尺の短さとかにはもう目をつぶって、なるべく原作から離れてドラマはドラマなりの鑑賞をしようと思っているのですが、主砲・原様のレビュー読んで改めて「うわ、これだけ端折られてるんだなあ……」としみじみします、見せ場端折られまくりの球七ファンとしては特に(笑)。
「捕る捕らねえは問題じゃねえ!」
の台詞は、球七役の永山たかしさんがインタビューで「一番印象に残っている台詞」として挙げてますので、原作と状況は異なるものの、これからの放映で出てくる筈です。それだけが心の支えです……。
2. Posted by もりわき   November 22, 2005 19:00
こんばんは、TBありがとうございました。

球三郎の言行不一致については、兄上様のこととなると、どうもあのは人はネジが1本外れてしまうらしいので温かく見守ってください(泣笑)
大門が、人間味と言う意味で一番損をしている、というのは同感です。
もうここまできちゃったし、弟と和解したという以上に、人としてどうオトシマエつけるのかくらいはきっちり描いてやってくれと云うかんじです。
3. Posted by 主砲・原   November 23, 2005 01:22
>レッドさん
コメント有難うございます。
原作で端折られてる部分については言っても詮無き事…とも思うのですが
原作を知らない視聴者にどうしても知って貰いたい部分もあるので、あえて書いております。
アストロ側ではやっぱり、球七が不遇な扱いな気がしますね。
「飛べ〜っ、不死鳥〜っ」はありそうとの朗報に一安心。今後に期待してみます。
あれが一番印象に残ってるとは、永山氏もなかなか分かってらっしゃる。

>もりわきサン
コメント有難うございます。
アストロ側では球七,ビクトリー側では大門が描き切れてないなぁと改めて思う次第。
ホント、原作未読のファンが大門についてどう解釈しているかと余計な心配をしてしまうばかりです。

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