November 07, 2005 22:16
アストロ超人、必殺打法大炸裂! / 「アストロ球団」 第七球(前編)
地獄のデスマッチ野球がついに開幕。オールスターゲームはこの試合で全ての客を持って行かれる事を恐れ、翌日に延期となったおかげで、ONコンビは観戦に来られた様だ。
【電動ドリルの成果! 冴える七色の変化球!】
明らかにおかしいバットの持ち方で構えるトップバッター・シャンゼリオン…いや、ダイナマイト拳に対して、大暴投と思いきや、直角に曲がるわ落ちるわで、きっちりストライクゾーンに飛び込んでくる球一のおばけ変化球が炸裂。狂気の電動ドリルによる改造手術(血しぶき飛び散る回想シーン、思いっきりカラー映像流してるね。モノクロ処理に抗議でも殺到したのだろうか…)で球一の手はスピットボール製造マシンと化していたのだ。この理屈でいけば、投げた本人もどう変化するか分からない球しか投げられなくなりそうなのだが(無論、ストレートも投げられない)、単に、変化量が凄まじくなるだけで、変化のしかたも、コントロールも自由自在。何故なら、超人だから!(ああ、久々に使ったな、このフレーズ)。かくしてスカ伊良部…いや、スカイラブも打ち返せる触れ込みだったダイナマイト拳はあえなく三振の噛ませ犬と化してしまう。
【色々と可哀想な力道岩とホープ】
長短2本のバットを持って打席に立つ力道岩。原作の様に、観客から罵声も浴びず、投げ込まれたゴミを巧みなバット捌きで打ち返す事もなく、バットの使い方についても全く説明されずと、色々とスルーされまくり。雷剛不在で3番に入ったホープもどう打ったのか分からない儘、凡退。尚、ホープの打球はセンターフライではなく、ショートゴロだった為、残念ながら明智兄弟も火山特訓の成果を見せられず仕舞い。
【千葉先生、またまた職場放棄】
監督のくせに、全然陣頭に立って指揮をしてくれない千葉先生が珍しく試合開始からベンチにいる…と思ったら、謎の矢文を見て、またまたナインに何も言わずに職場放棄。ロッテ戦の時に、球一が「見捨てられた」とわめきちらした事を教訓にしたのか、一応、沢村のボールは残していった訳だが、どうやらこれは得策だった様だ。矢文の内容は裏返しなので、完全には読み取れないものの、「9人目のアストロ戦士絡みで大至急来い」的なものらしい。どこのどいつか知らんが(王さんからナボナを奪った男・峠会長か?)、このタイミングで呼びつけるなんて、嫌がらせ以外の何物でもないよなぁ。駐車場で千葉先生を待っていた男は何と栗山英樹。勿論、この時代なので栗山英樹役ではないだろう。とりあえず、中井美穂の旦那よりは演技が上手い…気がする。
【ひたすら見せ番をカットされる球七】
1回表の超人守備を端折られた球七だが、その裏の攻撃でもセーフティバント→背面ジャンプでセカンドの頭を飛び越えて、二塁を陥れる…と言った特訓の成果その2を全て実況だけで処理されてしまう憂き目に…。ロッテ戦でもそうだったが、どうも球七の攻撃面での凄さを表現して貰えてない感じで不満が募る。
【伊集院兄弟骨肉の争い、第1ラウンド】
球二は驚異の動体視力を駆使するダイナマイト拳の超前進守備の前に凡退(凄いプレイなのだから、その凄さが分かる演出にして欲しいなぁ。まぁ、原作でも淡泊に処理されたけど)、打席には球三郎が登場。薔薇の花道は思いっきり豪華にやって欲しかったのだが、低予算なのか(?)、かなりショボい代物に…。球三郎の痛打を陣流拳法奥義・波がえしで打ち返す大門がイカす。原作ではバットで防いだボールは後方へ転々としたのだが、どうやらTV版球三郎はバント技術に長けているらしく、きっちり打球を殺して、ホームペース上にきっちり落とす。ならば、キャッチャー・ホープはそのボールをすかさず拾ってタッチすればいいものを何を呆然としていたのか、球三郎がのんびりと一塁へ行くまで何もしなかった模様。ローラーゲームあがりの所為で咄嗟の判断が出来んのかのぅ。
【氏家慎次郎、球一抹殺に失敗】
![]() |
「南無阿弥陀仏…」 |
【最初で最後(?)の見せ場! 球五、「バム打法」炸裂!】
「長かった…、本当に長かった…。バンアレン特訓場の成果が、今、ここに実る!」
長かったと言うのは、勿論、バンアレン特訓場での滞在時間…の事などではなく、ここまで(茂雄との絡み以外では)青ジャージと解説くらいでしか存在感を示せなかった不遇の時代の長さの事であるのは言うまでもないだろう。しかし、その特訓シーンはただ汗を飛ばしながら素振りをするだけと言う見た目は非常に常人的な代物にしか見えなかった。そもそも、「バンアレン」とは一体何ぞや?と疑問に思う人も結構いるのではなかろうか…と言う事で大雑把に解説を…。
「バンアレン帯」とは、地球をドーナツ状に取りまく高エネルギーの放射能微粒子層の事で、赤道上空400〜4800km(内帯…陽子が多い)及び12,000〜88,000km(外帯…電子が多い)辺りに存在している。1958年にアメリカが打ち上げた最初の人工衛星「エクスプローラー1号」がもたらした観測資料を基にバンアレン教授らが発見した為にこの名前が付いた。
…とまぁ、いわゆる天文用語な訳で、ジャコビニ流星群だの、コホーテク彗星(TVではハショられた)だの、アンドロメダ大星雲だのと出てくる辺り、どうも天文学がお好きな作者らしい…。こんな空間に生身で飛び込むとどうなるのか…。原作では「口、鼻、目、耳、そして、全身の汗腺から血が吹き出し、吐き気を繰り返し、脱水症状に悩まされ、しかも孤独に悩んだ」そうだが、全然語ってくれないのでその凄さが全く分からない。とりあえず、「ドラゴンボール」で言えば、「重力を何十倍にも上げられる宇宙船」とか「精神と時の部屋」とか、そういう異常な空間で特訓しましたよ〜みたいに解釈しておけばいいだろう。まぁ、こんな所に3週間も籠もっていたら、常人なら命の保証はないのは確かだ。球二が迂闊に装置を解除しようとしたり、特訓場から出てくる時の球五のやつれっぷりとかが完全にハショられてしまったので、とにもかくにもどう凄いのか分からない演出だった。
「球五、お前の見せ場だ。ここ一番で打てる様になった時、”燃える男・長島二世”の称号を贈ろう」
はっきり言って、この場面は全然「ここ一番」ではない。本当に「ここ一番」の場面が来た時に球五がどういう結果を出したかと言うと試合の決着シーンに繋がるので書けないが、とりあえず、長島二世の座は沢村一茂に渡ってしまったと言うのがヒントだ。
「くらえ! バム打法〜っ!!!」
長きに渡る不遇の時代で溜まった鬱憤を晴らすがごとく、また、これが最後の見せ場と予感しているのか、ここぞとばかりに必殺打法の名を絶叫する球五。特訓の成果によるバム打法から打ち放たれた打球はダイナマイト拳のグラブを弾き飛ばし、レフトフェンスを直撃する会心のタイムリー。これで防がれたりしたら、目も当てられなかったので、良かったな、球五よ。ところで、長年の謎となっているのが「バム打法」の「バム」とは一体何なのか。最初、バンアレンの略なのかも…と思ったのだが、調べてみると、バンアレンのスペルは「Van Allen」であって、略してもバムにはならない。バムを「bum」と仮定すると、「のらくら者,浮浪者,役に立たない,劣悪な」など、ロクな意味がない。きっとこれだろう!と言う「バム」の意味が分かる方は是非、教えて頂きたい。
【伊集院兄弟骨肉の争い、第2ラウンド】
三本間に挟まれた球三郎に大門の魔の手が迫る! かわしきれない球三郎は超人ならではの大ジャンプを見せるが…真上に飛んでどうする〜っ!(大門にも言える事だが)。球三郎を正当に抹殺出来る絶好のチャンスだと言うのに、普通〜にタッチアウトする大門が何か可愛い。
【セブンセンシズに目覚める球六】
![]() |
「これが新生アストロシックス! アンドロメダ大星雲打法だ!」 |
【伊集院兄弟骨肉の争い、第3ラウンド】
「生まれつき鼻が利くタチでね。俺にはあんたの怯えがビンビン伝わってくるぜ」
「信念のねぇ強さはニセモノさね」
「あんたを見ているとカミソリの竜と呼ばれていた頃の自分を見る思いがしてね」
と、散々挑発されたにも拘わらず、大門は球六の事など眼中にない様で、打球&ヌンチャクの二段コンボで球三郎を強襲。普通に捕ればいいものをわざわざマトリックス避けをしてから掌底で弾き飛ばすと言う手間をかけた為、後から飛んできたヌンチャクを避けられず、庇いに来た球六に無駄に傷を負わせてしまう。ショートから走ってきて間に合うとは一体、どれだけ俊足やねん! しかし、このプレイにより、球六の決意の程が分かり、ようやく球二にも認められる事に…。ハッ、ま、まさか球三郎はこの一連の流れを全て読み切って、二人を和解させる為にわざわざ回りくどい避け方をしたのでは!? 恐るべし策士よのぅ、球三郎! TV版では球六が試合開始時に仲間として全員には認められていないと言う設定なので、この展開はうまい事やった様に思うのだが、大門と球六の絡みが好きな私としては、やはり、ここはショートを守る球六の顔面めがけて打球を飛ばして欲しかった。球六の言っている事は単なる挑発ではなく、的確に大門の内心をついている訳で、図星をつかれた動揺を打ち払わんとする意味でもここは球六に目を向けて欲しかったのだが…。この後、氏家の球二抹殺を狙った逆一本足打法→球一に見破られて顔面に死球と言うイカすシーンも、ヘズ・ベベ(TVでは剣持?)の猛タックルを球三郎がスパイクでかわす燃えるシーンも無惨にハショられ、試合は2回の裏へ…。
【神風烈風隊・氏家、アストロ殲滅へ出撃せり!】
「これより、氏家慎次郎、出撃します!」
大門がアンドロメダ大星雲打法を受けたダメージで吐いた血を含んだコップの水を飲み干す氏家。このシーン、実写で見せられると、狂気度が増すねぇ。特攻隊員として死に損ね、彷徨い続けた末に探し当てた死に場所のマウンド。文字通り、死を覚悟してマウンドに臨む氏家の狂気はアストロ球団の一試合完全燃焼主義をも上回るのか!? 日本刀振り回したヤツが「死に花咲かせちょろうやないか!」と叫んだり、ビクトリーベンチはすっかり昭和20年モードだ。
今までで最大ボリュームのレビューとなった今回だが、次回も凄い事になりそうな気配。一体、何人が流血するのやら…。
アストロ球団 第二巻
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笑い過ぎてまた咳が……げほごほ。
超大なるレビュー、大変読み応えありました。特に球五のくだりは、明日(というか今日)356祭で本人に会った時に思い出し笑いしやしないかと不安になるくらいです。
ちなみに「バム打法」の「バム」ですが、自分はbomb、とても単純に「爆弾」て意味かと思ってました(球八の「水爆打法」てのもありますし爆弾つながりかなと)。
bombは日本語のカタカナ表記だと「ボム」ですが、英語の発音は「バム」なのです。
ショーや演劇などの「大失敗」「不入り」という意味もあるあたり、ちょっと泣けてきます(笑)。
TBありがとうございました。こちらからも送らせて頂きました。
こちらにはBlogを始める前から、お伺いしておりました。
今後ともよろしく。お願い致します
いつもコメント有難うございます。
成る程、「バム」=「bomb」とは盲点でした。
どうしても「bomb」=「ボム」のイメージがありますので…。
何にしても、あまりカッコいいネーミングの打法とは思えないのですが
まぁ、そういうセンスがダサいのも球五らしいと言えばらしいですな…。
>もりわきサン
はじめまして、TB&コメント有難うございました。
当ブログ、以前よりいらして頂けていた様でどうもです。
今後共、宜しくお願いしますね。