August 29, 2005 20:27

第8話 「孤独なチャレンジ」 / 今週の「プレイボール」

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 東実に勝つ為には全てを懸けて練習しなければならないが、受験や就職を控えている3年生にそれを強要出来ないと言う事情を聞かされ、あくまで一個人として頑張れと田所から説得を受けた谷口は、その事で夜も眠れない程、悩んでいた。一時は特訓を諦めかけた谷口だったが、父に叱咤され、たとえ一人ででも東実戦へ向け、全力を尽くす事を決意する。田所から谷口の東実戦への思いが全く消えなかった事を聞かされたナインはすっかり呆れ果て、憤慨し、冷笑するばかり。そこへやって来た谷口が一個人として頑張ると宣言。巻き込まれない事に安堵したナイン達は一人頑張る谷口を高見の見物としゃれ込み、馬鹿にした様な態度を見せていた。そんなナインをよそに谷口はバウンド送球の限界を痛感。少しでも送球難を補うべく超前進守備を敢行するも三塁線に打球が飛んだ時には間に合わないと判断し、ノーバウンド送球への挑戦を始める。学校での練習では飽き足らず、神社でもノーバウンド送球の特訓を行うが、コントロールこそ定まってきたものの、球速が伴わず、まだバウンド送球の方が速いとあって、流石の谷口も意気消沈。見かねた父は自分の大工の経験を基に、何事も一朝一夕にはいかないものだから、欲張った考えは捨て、たった一人のバッターでもアウトに出来るように努力しろと諭す。父の言葉で東実に勝たなくては…と言う焦燥感から解放された谷口は一歩でも半歩でも早く突っ込んで送球出来る様になる事を目指して、特訓を再開する。
 見違える様な谷口の動きに驚きを隠せないながらも、いくら頑張った所で東実の打者がサードへ打ってくれなければ元も子もないと皮肉を漏らすナイン達。しかし、そんな中、谷口の頑張りを無駄にしたくないと心を動かされていた者がいた。エースの中山だ。バケツ一杯分のノックを受け、ボロボロになった谷口の元へ歩み寄った中山は東実の打者にサードゴロに打ち取る方法を請うのだった。更に、「ピッチャーがその気になっちまったのに、球を受けるキャッチャーがそっぽ向いていられるか」と田所までが東実攻略へ乗り出す。そんな3人の様子に他のナイン達も感化され、東実相手だからとみっともない試合は出来ないと意欲を見せ始める。東実戦へ向けて、ついにナインの心が一丸となったのだった。
 いよいよ東実戦を翌日に控え、最後の練習の取り組む墨高ナイン。努力の甲斐あって、谷口のノーバウンド送球にもスピードがついてきたが、ここにきて、他の内野陣が谷口の送球を悉くこぼしまくる。口々に谷口の送球が変だと騒ぎ立てるナイン。たまりかねた田所は自ら谷口の送球を確かめようとするが、目の前でスッと落ちるボールに驚愕。一体、このボールの正体は!?
 
 中山が谷口に東実対策を求めるくだりが熱い。サブタイトル通り孤独なチャレンジを続ける谷口に対して、物語序盤から一貫して冷ややかな態度を取り続けてきた中山の表情の変化を引っ張りに引っ張った上でのシーンだけにしびれるものがある。更に、この後の田所の陥落ぶりもいい味を出している。何だかんだ言いながら、この人も内心はとことんまでやってみたかったのかもしれない。キャプテンと言う立場の人間が先頭に立ってやる事は場合によってはナインへの強要に繋がりかねない。実際、青葉戦を控えた墨谷二中時代の谷口も当初はそう解釈されて、ナインから大いに反感を買っていた。谷口の場合、陰でナイン達以上の特訓を積んでいた事が図らずも発覚し、ナイン達が付いてくる契機になった訳だが、田所はあれ程の求心力,説得力を持っていない事を自覚していた筈だ。それ故に谷口の頑張りを決して馬鹿にせず、認めていながら、差し控えていた部分もあった事だろう。しかし、この行動はあくまで「キャプテン」としてでなく、自ら谷口に進言したのと同じ「一捕手」としてのものである。悪く言えば「キャプテン」職を放棄してしまったとも言えるのだが、ともあれナインへの強制力は働かない。しかも、谷口もナインに対して、口出ししないと言う約束は守っているのだから、誰も文句は言えないと言う寸法だ。しかし、「無意識の強制力」を持っているのが谷口。やる気を出させる為に自分がまず手本を見せよう…などと言う計算は一切していないのだが、それが故に、そういう効果を発揮してしまうのだろう。やらされる練習と、自発的に取り組む練習ではモチベーションも効果の程も大きく違う筈だ。そして、自発的にやらせる事は決して簡単ではないのだが、図らずも全員にそういう意識を持たせてしまうのは、谷口の最大の魅力と言えるだろう。
 
「自分が本当にやりたい事に熱中出来ねぇ様な野郎は社会に出ても使い物にゃならねぇぞ」
「自分に嘘はつくな。好きな事で後悔する様な真似は絶対にしちゃならねぇ」
 
 相変わらず、谷口の父ちゃんはカッコいいねぇ。谷口が一人で悩みを抱え込んでいても、何も言わずに理解してやり、自分に例えながら、時には諭す様に、時には突き放す様にして、きっちり谷口が求めている答えに導いていく。普段はだらしないのに、肝心な時には立派な父親として振る舞える辺りが、何とも頼もしい。今時、こういう父親はどれくらいいるのだろうか…。
 ところで、ついに出た魔球の伏線。結局、伸びきった儘の指と言う設定に合わせたシナリオのアレンジなど一切せず、この儘、ゴリ押しする模様で不満たらたらだ。指を引っかけない様に…って、伸びた儘なら、逆に引っかからない事がネックになるだろうに…。しかも、あの指を使って無理に投げようとすると、フォークと言うよりも、むしろ、パームボールに近い球になるんじゃなかろうか…。
 

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トラックバック一覧

1. プレイボール  [ ゼロから ]   August 30, 2005 19:30
谷口の一生懸命さがナインに伝わり 東実戦に皆で望むことに。
2. 8話・孤独なチャレンジ  [ 空はどこまでも ]   August 31, 2005 14:57
なにか、感想を書くのに力が入りません…。なぜ? だって熱くなれないのですもん…。その理由は後で。 ****** アニメのいいところは、原作で見えなかったストーリーや、説明不足だったところがちゃんとでていてスッキリする(例えば松下が成仏した回がそれ)ところに
3. プレイボール 第8話「孤独なチャレンジ」  [ Precious Prize Platz -Annex- ]   September 03, 2005 22:10
脚本   植田浩二 絵コンテ゜嶋国敏 演出  ゜嶋国敏 作画監督 村上勉 演出助手,野栄太郎 田所にある意味正論を言われて、ちょっとヘコみ気味の谷口。 家業の電器屋を継ぐためにがんばっている田所の話に感化され、父ちゃんの仕事を手伝おうとする谷口。 父ちゃんの返事

コメント一覧

1. Posted by わんだーサク   August 31, 2005 14:11
谷口くんの父ちゃんは、理想の父親ですよね。
子どもは守ってもらう事を望んではないのですよ。先を示して欲しいのです。自分の足で歩きたいのです。父ちゃんエライです。ホント。

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