小畑健

January 06, 2009 23:15

 大場つぐみ&小畑健コンビの「DEATH NOTE」以来となる新作「バクマン。」のコミックス1巻がいよいよ発売。ネット界では最早、周知の事実と言って過言ではない「大場つぐみ=ガモウひろし」説だが、そんな事など露知らずにいた読者でも、今巻を読む事でそれが紛れもない事実であると気付くだろう。話と話の間に大場つぐみのネーム→小畑健のネーム→完成原稿…と言ったものが紹介されているのだが、大場つぐみのネームはもう誰がどう見ても、あのガモウひろしの絵そのものなのだから…。主人公・真城最高の叔父で漫画家の川口たろう(故人)は完全にガモウひろしがモデル。画力のなさに苦労し続けた末に一発当てて、アニメ化までされたものの、以後は2作だけ連載された作品がいずれもすぐに打ち切られるなど、一体どこまでが事実でどこまでが虚構なのか分からないくらいリアルなガモウひろし的エピソードの怒濤のラッシュ。結局、一発屋に終わった川口たろうはひたすらに(モノになる事はなかった)ネームを大量に描き続けた挙げ句に過労死と言う悲劇を迎える自虐ぶりには、ガモウひろしファンでなくとも、泣けてくるだろう。「とっても!ラッキーマン」すら知らない最近の読者には全然グッと来ない要素かもしれないが…。ガモウひろしは過労死する事なく、原作者・大場つぐみとして「ジャンプ」に返り咲いた訳だが、本音は漫画家として成功したかったのかもしれない。劇中でも「原作・秋人/漫画・最高」の組み合わせは一見、「秋人=大場つぐみ/最高=小畑健」の様に映るかもしれないが、川口たろうの魂を受け継いでいるのは明らかに最高であり、大場…いや、ガモウひろしの魂は最高に託されているのは間違いないだろう。「バクマン。」はガモウひろしの願望と復讐心、どちらを投影しているのか…。とにもかくにもガモウ的視点で見ずにはいられない「バクマン。」なのである。まぁ、ガモウ度が凄まじいのは1巻くらいで、2巻以降はさほどでもなくなる筈なので、別に、ガモウひろしの事を全然知らなくても、安心して手を出せる作品である。度々、実在の作品名が出てきたり、リアルなジャンプ編集部システムの内情(どこまで事実かは分からない辺りの微妙さがいい)が次々に明かされたりする辺りも面白い。「『デスノート』の原作の人だって、どこかで書いてたぜ。何か仕事しないと5年後には飢えて死にますって」なんて台詞が出てきたりするくらいで、これはもう思いっきり本人のコメントで事実だろと…。ただ、1巻をより楽しむ為には、ガモウ作品を軽〜く読んでみる事をお勧めしたい。「とっても!ラッキーマン」は「男のロ・マン」が出てくる回くらいは見ておくと吉か…。

とってもラッキーマン 1 ラッキークッキーコミックス1巻の巻 (1) (ジャンプコミックス)
とっても!ラッキーマン (1) (ジャンプコミックス)

バクマン。 1 (1) (ジャンプコミックス)
著者:大場 つぐみ
販売元:集英社
発売日:2009-01
おすすめ度:5.0
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