December 06, 2005 22:09

バロン、壮絶な最期! 幕引き係は「あの男」!/ 「アストロ球団」 第九球(前編) 4

 「アストロ球団」もいよいよ佳境。最終回の前編に突入だ!

【球一の厳しい叱咤! 球四郎、左腕で完全復活!】
7回裏、アストロの攻撃は2点差に詰め寄り、なおも二死満塁。ここでファイナル大魔球を投げ続けていた事によって、酷使された右腕が全く動かなくなり、悲痛な叫びをあげる球四郎。バロンが必死に球四郎の右腕を殴りまくるが、既に、痛みすら感じない。絶望感漂う球四郎の表情に見かねた球一は球四郎目掛けて突然、ボールを投げ込む。右腕は全く動かないので、当然、左手でこれを掴む球四郎。

「なんでぇ、なんでぇ、キャプテンらしくもねぇ!
右手がダメなら左手があるじゃないですか!」

………………あ、間違えた。これは「キャプテン」の丸井の台詞だ。

「右腕一本がオシャカになったくらいでそのザマは何でぇ。完全燃焼して行った仲間が泣くぞ!」

原作にはこんなシーンはない。球四郎は散っていた仲間に申し訳がないと、自力で立ち直るのだが、これはこれで熱い。先の指のしこりから血を抜いて貰った借りはむしろ、ここで返した格好になった。「完全燃焼して行った仲間」と言われて球四郎が思い返す連中には、ビクトリーのダイナマイト拳,氏家,大門ばかりか、大門に倒された球五,人間ナイアガラを食らった球三郎まで…。これって、今や球四郎にとって、アストロの面々も仲間と言うか戦友として認識してるって事だろうか。それにしても、氏家,大門はともかく、他の連中は果たして「完全燃焼」してるか? 球五は思いっきり不完全燃焼だし、何だかんだでピンピンしてる球三郎とか振り返るくらいなら、少しは球七のプレーも思い出してやってくれよ。球一の思いを受け取り、左腕に切り替える球四郎。右腕が上がらず反動をつけられないにも拘わらず、キャッチャー・ホープをバックネットまで吹っ飛ばす凄まじい威力だ。

「柳の下に二匹どじょうはいねぇ。地獄を覗いてきやがれ!」

この球威を目の当たりにしても、強気の球六は激振するも打球はサードベンチへ飛び込もうかと言う凡フライ。アンドロメダ大星雲打法で2度も打ち取られ、ここでもこんなショボい打球。一見凄かったアストロシフトも全く効果なく、あんた、伊集院兄弟の秘密バラしに来ただけか?と言うくらい役に立ってない球六が何だか不憫だ。普通ならファールのこの打球だったが、サード・バロンが果敢に食らいつき、ベンチに飛び込みながら見事ダイレクトキャッチ。しかし、この時、ベンチに頭を強打したバロンの体に異変が…。まさか「地獄を覗いてきやがれ!」とは球四郎ではなく、バロンへの忠告だったのか!?

【千葉先生、相変わらず、峠会長と談笑】
選手達が死闘を繰り広げてるのに、このおっさん共は何を呑気に話してやがるんだ!といきり立った栗山氏が乱入。球九郎が直接アストロドームへ向かったと言うのだ。何じゃ、そりゃ〜! 矢文まで使って千葉先生を呼びつけた事は全くもって意味がないではないか。「とんだ無駄足踏ませやがって、このジジイ! 早く王さんにナボナを返してやれよ!」と怒り心頭の千葉先生はすかさず球場へとんぼ返りだ。

【球七の執念及ばず! バロン、決死の同点弾も壮絶死!】
左腕から繰り出す剛球は一見凄そうだが、実は大した事なかったのか、続く8回にも満塁のチャンスを作ったアストロは球一の走者一掃のタイムリー二塁打で一気に逆転(全て実況であっさり処理されてしまったが)。端折られたので詳細は不明だが、続く球六はまたも凡退した模様だ…(泣)。そして、いよいよ迎えた土壇場9回、この回さえ凌げば勝利となるアストロの前に立ち塞がる男はバロン森。

「勝利には死をもってしか奪えねぇ勝利もある。
そこまでやらにゃ、氏家やダイマナイト拳、伊集院大門に顔向け出来ねぇ」
(バロン)
「超人に限界があるとすりゃ…、それは俺達超人が死に絶える時だ!」(球一)
「つっぱらにゃならん時につっぱらにゃ、真の男とは言えねぇ!」(バロン)

熱い、熱過ぎる! 気力体力の限界を振り絞って投げる球一のボールを文字通り命懸けで激打するバロン。そして、ここで散々待たされまくった明智兄弟に見せ場がついに来た〜っ!

「捕る捕らねぇは問題じゃねぇ〜っ!
 ここであいつらを調子づかせちゃ絶対ならねぇ〜っ。飛ばせ〜っ!!」
(球七)

「飛べ〜〜っっ、不死鳥〜〜っ!」(球八)

球七、決死のダイブも及ばず、打球はバックスクリーンを遙かに超える同点アーチ。高々と打ち上げられた球七は着地もままならず、全身を地面に叩き付けられてしまう。必殺技を披露しても報われない事しきりの当作品だが、ここに関しては打ち破らんとして出して返り討ちに遭うのではなく、明らかに通じない事を承知しながら、あえてやって見せる覚悟,決意が実に壮絶。一瞬なりとも、まさか捕られるのでは?と球四郎を不安な表情にさせた球七の勝利への執念は天晴れだ。

「あの勝負に対する執念…。大した野郎だぜ」

と、球七を称えながら、ベースを一周するもホームイン寸前で突然立ち止まってしまうバロン。なかなかホームインしないバロンによりにもよって、球四郎は…

「勿体つけんと、早うホームを踏めや。わしからのとっておきのキッスをプレゼントしちゃるき」

などとぬかしてしまう。オカマぶっているのは仮面であって、実際は一本筋の通った男であり、断じてゲイなどではないと言うのに、この儘、ベンチへ帰ったら、あのヒゲ野郎にキスされてしまうのかと想像するに計り知れないダメージを受けたのか、突然、鼻から耳からだらだらと血がこぼれ落ち、更に、大量の血を吐いて昏倒。8回の守備で強打した頭の打ち所が悪かったらしい。超人的なプレイを見せる事は出来ても、所詮、常人。やはり、超人の最大の売りは体の頑丈さに他ならない様だ

「球四郎、おめぇがどうつっぱろうが、痣の疼きは否定出来ねぇだろう。
おめぇは底辺に埋もれてきた奴の為に生きてきた。もうそろそろ自分の為に生きてみろよ」

常に一番になる事を目指しながら、球四郎がいる限り無理だと悟ったバロン。球四郎の持つ熱気の元を見届けようと懐刀としてついてきたこの男は、まだ自らの運命を受け入れきれていない球四郎に最後の言葉を託すと、辞世の句を詠み出す。

「『露と落ち 露と消えにし 我が身かな みやこのことは夢のまた夢』
………大部分……盗作!………あの世じゃ一番の男になってみせるぜ〜っ!」

ああ、ここきっちりやってくれて嬉しい〜。この期に及んで、秀吉の辞世の句をパクり、「大部分盗作」と締める辺り、最後の最後までイカす男だぜ。しかし…

「おめぇがやつらに抱いてるのは憎悪じゃねぇ、嫉妬だ。定められた運命の中で自由奔放に生きている連中へのな」

が端折られたのは残念だ。球四郎の対アストロ戦最大の動機がここに集約されている様に思うのだが…。さて、この後、球四郎は散っていた仲間の名前をバットに刻み込む訳だが………………

「宇野球一。バロンのホームランで同点にされるも後続を断ち切り、スリーアウトチェンジ」

え〜っ!? このバット使う間もなく、9回表終わっちゃったよ! この展開で球四郎の最後の打席を端折りますか…。幾ら何でも、そりゃないだろう。

【アストロナイン、ついに全員集結!】
かくして、あっさり迎えてしまったラストイニング。いきなり投げ損ないの失投にこれ幸いと激振する球八だが、嫌がらせとしか思えないタイミングで9人目の超人が球場入りし、痣が疼いた影響で球八は痛恨のキャッチャーフライに倒れる。

「俺達は最初から7人で戦ってきたんだ。この試合は俺達でカタをつける」(球一)
「球四郎よ、てめえに最後の超人は譲ってやるぜ!」(球七)
「断る!ここで最後の超人に助けを求めたんじゃ、ワシの為に命を投げ打ってくれた4選手に申し訳が立たんぜよ」(球四郎)

痣の疼きに苦しみながらも、9人目の加入を拒否する両軍。ここで千葉先生曰くアストロ戦士が全員揃った事の喜んだらしい沢村の魂の表れか、何故か開閉式ではないドームの中にある沢村像に落雷が起きると、これまでの痣の疼きが嘘の様に消え去るのだった。先頭打者・球七は突然、左バッターボックスへ。軸足となる右足のアキレス腱が切れている為だが、そういう意図が汲み取れるかはかなり微妙だ。何より、絶対に言って欲しかった台詞が見事に端折られ、とても悲しい。その台詞とは、勿論、これだ。

「足なんぞ、一本もありゃ十分よ。
一本足でバカスカ打ってるやつがいるじゃねぇか!
巨人軍の王貞治と言う怪物がよ〜っ!」

王さんファンの私としては、やはり、この台詞は外せない! 結局、王さんはナボナを食い逃がすわ、解説の茂雄に対する驚き屋と言うポジションに収まるわで、「作中の登場人物の中ではぶっちぎりの性格の良さ」くらいしか、存在感をアピール出来なかった印象だ。この後、球二の一打で球七は連続バク転で足の悪さをカバーすると言う持ち味の身軽さを生かした走塁をようやく見せてくれるのだが………………、思いっきり両足使って飛び跳ねてるよ、この人! それじゃ、全然ケガを庇ってないやんけ! スタントマンレベルでも片足で連続バク転(原作では前転だが)する事は相当な難易度なのだろうか。それならそれで全身図は出さずに処理するとか、何とか片足で飛んでる様に見せる術はあった様に思うのだが…。更に、球三郎はバロンがいない三塁線へのセコいバントで出塁し、満塁で主砲・球一と言う絶好のお膳立て。普通の作品なら、ここで主人公が打ってサヨナラ勝ちとなる所だが、野球漫画のセオリーは通用しないのが「アストロ球団」。球一は球四郎に気迫負けし、バットを折られてのピッチャーフライに倒れてしまう。

【球五、突然の復活! 球六、最後の最後まで活躍の機会なし!】
ここで怒濤のチャンスブレイカー・ニックン(巨人)も顔負けのインケツぶりを続けてきた球六が最後の最後で決めるのか…と誰もが思った矢先、今までずっと寝ていたくせに美味しい所だけかっさらおうとばかりに突如、球五が登場。おったまげたナインは「医務室へ戻れ」「その体じゃ…」と制止するが、そういう事はまず、三塁ベースで瀕死状態の球七に言ってやれよ!

「ここに帰ってきて初めて生き返った気がする。やっぱり俺は野球でしか生きられん。
それを最初に俺に教えてくれたのはお前だぞ、球一」
(球五)
「俺に会う前からお前は最っ高の野球バカよ」(球一)
「どうやら野球の神様はおめぇを選んだ様だ。幕引き係は任せたぜ」(球六)

どうやら野球の神様は球六の過去の所業を許していないらしい。解説しか能がなく、普段着は青ジャージ,地獄の特訓も軽く流され、完成した新打法は意味もよく分からない「バム打法」。しかし、肝心な所で凡ゴロに倒れた挙げ句に理不尽なプレーで全身ガタガタにされたかと思えば、やった相手に借りを返すどころか寝ている間に勝手に自殺…と、とことん不遇な目に遭い続けてきた球五についに日の目を見る時が来たのだ!

「球五、お前のその勇姿に『長嶋二世』の看板など無用だったな」(茂雄)

かくして「長嶋二世」の看板は沢村一茂に引き継がれるのであった。


 

Story
70年代に「週刊少年ジャンプ」で連載された超人格闘野球コミックの実写版ドラマの第3弾。名投手・沢村栄治の遺志を継いだ謎の男・シュウロに集められた宇野球一ら9人の超人たちが、“打倒米リーグ”目指して世界最強...(詳細こちら

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